マイクロフォーサーズは何と言ってもレンズを含めたトータルでシステムをとてもコンパクトにまとめることができることが利点だ。
レンズのラインナップもなかなか充実してきているし、自分に合ったシステムを組む楽しみといったものもあると思う。
オリンパス・パナソニック両社からF2.8通しのいいズームレンズが提供されていて、それらを揃えていればどんなシチュエーションにでも対応できるのだろうけど、コンパクトなのに写りがいいというマイクロフォーサーズシステムの利点を最大限に活かすためにも、わたしは単焦点レンズを揃えるやり方を推したい。

じゃあ、どのレンズを買うべきか?

わたしがメインに使っているカメラOLYMPUS OM-D E-M10との相性も含めて、その検討材料になるような記事を書いてみたいと思う。
もちろん、すべてのレンズを持ってたり試したことがあったりするわけではないので、その点はご容赦いただきたい。

第1回、第2回と長めの焦点距離を持つオリンパスのレンズを紹介してきたが、これから先の標準~広角レンズは何故かパナソニックのものばかりが手元にある。 今回はその中の一つ、比較的新しい Panasonic LUMIX G 42.5mm F1.7 を紹介する。

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マイクロフォーサーズのレンズラインナップには元々これくらいの焦点距離をもつものとして、M. ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8 というそこそこ評価の高いレンズがあった。このレンズは後発ということになるのだが、スペックを比較すると外観からして案外いろいろ違う。この 42.5mm F1.7 の方がびみょーに細くて(55mm⇔56mm)、ちょっぴり長くて(50mm⇔46mm)、やや重い(130g⇔116g)。視点をレンズの中身の方に移すと、名前の通り、開放F値がほんのわずか違っている(F1.7⇔F1.8)他、42.5mm F1.7 の方には手ぶれ補正機能がついている。わたしの場合はほぼOM-D E-M10で使うのでこれについては無用の長物なのだが、本体に手ぶれ補正機能のついていないパナ機を使う場合は重要なポイントかもしれない。

さて、ここまでの比較で敢えてスルーしてきたが、実はこの2つのレンズの差別化するものは上に書いたようなこまごましたものではなく、その最短撮影距離0.31m⇔0.5m)に尽きると言っても過言ではない。相当「寄れる」のだ。その結果として、最大撮影倍率は45mm F1.8 が0.11倍に対して42.5mm F 1.7 の方は0.2倍となるため、マクロ的な写真も撮れるしボケもその分盛大になる。

45mm F 1.8は価格もリーズナブルでかつ小さく、軽く、しかも明るいということで非常に人気の高いレンズなのだが、そのレビューをいくつか見るとほぼ締めくくりには「欲を言えばあともう少し寄れたら」ということを異口同音にはやし立てているのが読める。つまり、後発のこの 42.5mm F 1.7 はそんな 45mm F1.8 の欠点を見事につぶしてきたと言える。その結果、わたしのようにオリ機使いであっても敢えてこのパナレンズを買う人が出てくるというわけだ。

さて、例によってOM-D E-M10に取り付けると案の定、やや細くて頼りない感じがしなくもないが、そこそこマッチしているのではないだろうか。

写真をよく見てもらえればわかるとおり、個人的な理由でこのレンズにはプロテクタとステップアップリング(Φ37→Φ46)を付けている。
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例によってレンズが傷だらけなのはご容赦いただくとして…このステップアップリングの主目的は各種フィルターの流用である。
よく使うフィルターとしてPLフィルター(反射を取り除いたり、ある環境下で空をより一層青くし、木々の緑を深い色にする)やNDフィルター(レンズに入ってくる光量を抑えることで、明るい場所でも絞り開放で撮れる)などがあるが、手持ちのモノはそれが全てΦ46なのだ。このレンズだけΦ37だからといってΦ37のフィルターを別に揃えるのも馬鹿馬鹿しいということからこのようにしている。

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おかげでひょろっと長いレンズがさらに少し長めになってしまっている。

さて、その焦点距離は35mm換算で85mmとなるが、この焦点距離で見る画角は昔からよく使われるものであるようで、なるほど確かにいろんな場面で使える。
このブログに載せた過去のスナップ写真もこのレンズで撮ったものが多い。(これとか…)
何と言っても軽量コンパクトなのに大口径ということから気軽に持って出られる。

「そんな中望遠レンズ1本じゃ撮られるものも限られるでしょう?」 

という声も聞こえてきそうなので、ちょっと古い写真だが、このレンズ1本でイチョウを 撮りに行った時の写真を載せておく。それなりに多彩な表現ができると思われないだろうか?

ひいて絞って風景に。
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寄って開いてクローズアップ。
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さらに寄ってマクロ的に。
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2枚目の背景のボケは本来は開放で撮っているので円になるはずなのだが、絞り羽根の形が出ているのが気になると言えば気になるかもしれない。そこは45mm F1.8の方がいくらか優れていてそれなりにちゃんと丸になるらしい。
しかし、なんと言ってもこのレンズは寄れるので、盛大にボカすことができ、上の例くらいに気にならない(?)レベルにすることもできる。

どちらかと言えばクローズアップが好きな人ならお散歩に連れて行くのにカメラにつけっぱなしにして使えるだろう。
マイクロフォーサーズのカメラを買って、背景を盛大にボカした写真を撮りたいと思われたなら、初めての単焦点としては値段も手頃で十分オススメできるレンズである。
ただし、中望遠であるので料理などのテーブルフォトに使うのは難しいかもしれない。「今日食べたラーメン」ではなく「今日食べたラーメンにのっていたチャーシュー」を撮ることになるので、そこは気を付けたい。